シニアに「働く」貢献を求めよう!

統計があるわけではないが、日本人が一つの会社で働く期間は、おそらく世界でもトップクラスの長さだ(長期雇用)。
会社からすれば、①その人に投資した分をしっかり回収できる、②会社特有の仕事のやり方や文化をキープしやすい等のメリットがあり、個人からみても、①その会社で学んだスキルや経験を有効に発揮できる、②滅私奉公に徹すれば安定的な収入や居場所を確保できる、といったメリットがある。
だからこそ、事業環境が大きく変わらない世の中(昭和の戦後期)では、長期雇用を支える終身雇用や年功序列といった慣行が労使双方から支持されてきた。

・しかし、今はどうだろう?
事業環境の変動が大きくかつ不確実性が高い今日、会社は長期雇用によって育てられてきた同質性の高い人材ばかりで、会社変化にしっかり対応できるだろうか?個人にしても、会社の将来があやしくなる中いつまでも一つの会社にしがみついていて大丈夫だろうか?
現役世代の有能な個人は、この変化を敏感にかぎ取り、会社任せにしない「自分のキャリア」を求め始めた。

しかし、シニア世代はどうだろう?
これまで「年功序列で給料の高くなった中高年社員」に対してつれないそぶりをしてきた大企業が、今では定年延長等で人材不足を補おおうとしている。
また、中高年社員のほとんども、やっぱりこれまでの会社に留まるのが安心と会社の求めに応じているようだ。
そもそも「定年」は、会社にとって都合の良い会社の論理であり、個人の主体的な選択ではない。
本来は、個人ひとりひとりが自分の健康や生きがいを考えて働き続けるのか働くことをやめるのか、働くにしても他の働く場所にシフトするのか決断すべきであるが、昭和の戦後期から随分経った現在でも多くのシニア人材が受け身の選択に身を任せているのは残念だ!

日本が人口減少や人材不足を乗り越えてさらに活力のある社会を構築していくため、シニア世代があらためて自分の生き方の中心に「働くこと」を持ってくるべき時がきたと考える。
シニアの人生は、もはや余生ではない。
日本社会は、シニアに対して仕事を通じて貢献する生き方を強く求めるべきではないか。
それは決して「社畜」になることでも「就社」でもない。
シニア自身が自分で主体的に働く場所や働き方を選択できる社会を創造していこう!