外からスカウトされた経営者にひと言

レゾナックの高橋社長が、日経新聞のインタビューで
「私は『プロ経営者』の意味が分からない。組織のかじ取りをする以上、企業のトップは全員プロであるべき。それは生え抜きでも私のような外部組でも同じだ」と言っていた。

高橋氏がいう「企業のトップは全員プロであるべき」とは、「経営者はプロの意識をもって仕事をすべき」という意味だろう。
そのとおりだが、プロ意識は経営者に限らず全てのサラリーマンが持ち場持ち場でもつべき心構えだ。
インタビュアーがイメージする「プロ経営者」とは、生え抜きではなく外からスカウトされた経営者のことのようだ。
日本の場合、大企業や上場企業の大半の経営者が終身雇用の慣行に沿って準繰り中で昇進しかつふるいにかけられ残った人材、いわゆる生え抜きだ。
これまでのやり方や社風を守って頑張る時代(=昭和の高度成長期)には、確かに生え抜きがベストの適材たりえたのだろう。
しかし、会社の変革が求められる現在の経営環境を考えると、外の世界の経験を活かして予断を持たずに経営判断をなしうるという意味において、外からスカウトされた経営者の活躍できる場がぐっと広まってきたと考える。

但し、一つ注意すべき点がある。
外からスカウトされた経営者は「株主資本主義」に偏った経営に走るきらいがある。
就任時に社内に支持基盤がないため、株主の支持(短期的な株価上昇)に頼りがちとなる。
(もっとも米国の株主資本主義を勉強し過ぎた生え抜き経営者が社員への配分をおろそかにしてきたことには、驚きを禁じ得ない。)
企業という組織は、株主・社員・顧客・取引先・銀行・地域社会等の色々なステークホルダーのサポートがあって成り立つ。
外からスカウトされた経営者は、株主の利益ではなく意識して他のステークホルダーの利益を考えた経営に努めるべきだ。
外からであれ内からであれ経営者たるもの、主要なスタークホルダー間の利益の適切なバランスを常に考えて経営にあたってもらいたい。