元サラリーマンと中小企業は折り合えるか?

「大勢のサラリーマンが定年退職で会社人生を卒業している一方、我々のような中小企業が必要な人材を確保するのに苦労している。
シニアは昔と違ってまだまだ元気。確かに中小企業が彼らを上手に使えれば、それに越したことはない。そこで羽多野さんが、元サラリーマンと中小企業が一緒にうまくやっていけるように、事業の仕組みで色々工夫しているのもわかる。
しかし、大企業で育った元サラリーマンがこれまでの自分を横において謙虚な姿勢で中小企業に溶け込めるだろうか?多くの中小企業経営者はそれを心配していると思うよ。」
先日お会いした中小企業のオーナーから、弊社の事業についてこのような辛口のコメントを頂いた。

私自身ミドルで(大企業から大企業とは言え)銀行からエンジニアリング会社に移った際、仕事のやり方やカルチャーの違いにかなり戸惑った経験があるので、大企業から中小企業に働きの場を変えることが、元サラリーマンにとっても受け入れてくれる中小企業にとっても容易でないことはよく理解できる。

とは言え、元サラリーマンにとっても中小企業にとっても、これはやってみる価値のあるチャレンジではなかろうか。
元サラリーマンにとっては、新しい学びや努力することで得られる達成感など、余生に甘んじることなく新しいステージで充実した人生に踏み出せる意義は大きいと思う。
中小企業にとっては、経験豊富な異質の人材を敢えて活用することで、経営や事業の変革につなげ、さらには大企業との取引において相手側の手を読んで交渉するチカラを補強する事にもなるのではないか。

人口減少や少子高齢化という避けえない日本の構造的な問題を直視する時、元サラリーマンと中小企業が折り合う試みは、大いに価値あるチャレンジだと考える。