野口悠紀雄著「どうすれば日本人の賃金は上がるのか」

野口悠紀雄さんの「どうすれば日本人の賃金は上がるのか」(日経プレミアシリーズ)を読んだ。賃金を上げるためには、一人当たりの粗利益/付加価値を高める必要がある。そのために何をすべきか…大変真っ当な指摘が平易な説明でなされており、一読に値する。

一人当たりの付加価値を高めるためには、世の中の変化(例えば中国の台頭やデジタル化)に応じる企業の変革が必要だ、いつまでも戦後の成功体験から抜け出せない日本社会の仕組みを根底から改革しなければならないと論じている。変えなければならない最たるものとして、年功序列的な給与体系や退職金制度が挙げられている。このために従業員が現在の会社に縛られて(終身雇用)労働市場の流動性が進まず、生産性の高い企業や業界への人材シフトが進まない。企業内でも優秀な社員が頑張っても年次に見合った給与しかもらえず頑張る=生産性を高める意欲がそがれてしまう…

我々元サラリーマン(定年退職したシニア層)は、このつらい日本の状況を逃げ切ったように見えるかもしれないが、実はそうあまくもない。確かに金銭的には後進の皆さんより恵まれているかもしれない。しかし、シニア層は総じてラッキーと言えるのだろうか? 寿命が延びまだまだ元気なシニア層が、もっと働きたいのに定年退職という名の強制解雇で職を失い社会から引き離され余生に押し込まれるのはおかしくないか? 日本は少子高齢化で働き手が不足し今後さらに悪化すると言われているのに、やる気のあるシニア層を遊ばせておいていいのか? 多くのシニアは自分の子や孫の代がより良い人生をおくれるように少しでもお手伝いしたいと思っている。この気持ちを具体化するための方途はないものか?

多くの識者が終身雇用(メンバーシップ型)・年功序列・退職金制度などのレガシー雇用慣行の弊害を指摘し早期の脱却を求めているが、変えようとすると現状維持にこだわる人たちが抵抗するのは世の常。特に本件は変える過程で既得権を失う人たちが大勢いるので、政治もなかなか触れない。しかし仕方がないとあきらめたら、日本の前途の展望が開けない重大事態。

知見パワー株式会社が提案する成果報酬型業務委託契約は、元気なシニア層の皆さんに柔軟かつやりがいのある働きの場を提供することによってシニアを実質「ジョブ型の労働力」に転換し、シニアの社会貢献度を高めることを狙っています。現役世代に先んじて世の中の変化に対応しうるシニアの生き方変革を試みることにより、現役世代の雇用の仕組み変革を促していけたらと考えてます。

次の記事

知見パワー創業の思い