敢えて問う、「70歳まで定年延長」は正解か?

高年齢雇用安定法の改正により、大企業では「70歳までの継続雇用が努力義務」となり、先日はロフトが70歳まで定年を延長したことが報じられていた。既にアサヒグループなどが70歳定年制を始めており、深刻な人材不足に直面する企業やシニアの豊富な経験を再評価する企業を中心に70歳定年を導入する企業が増えていくものと見込まれる。
元サラリーマンの知見活用に取組む弊社であれば当然「賛成」と思われるかもしれないが、実は「これでいいのか?」と思っている。

何故か?
確かに元気なシニアの活躍できる機会が増えることはとても良いことだ。
しかし、人材市場の低い流動性こそが日本型雇用慣行の最大の問題と捉えている弊社の眼には、「大企業による70歳までの定年延長は大企業による有能人材の囲い込みをさらに助長する」としか映らない。
現役人材のパイが小さくなっていく日本では、パイから退出していこうとする人材(シニア)を出来るだけ押し留める「量」確保の対策だけでなく、パイに留まる人材を会社の壁を越えて社会全体で有効活用する、つまり1会社の最適活用を超えて社会全体での最適活用を図る「質」の向上が鍵と考える。

日本では人材の99%超が中小企業で働いている。ようやく現役人材の流動性が高まりつつある現在、まずはシニア人材の流動性を思い切って高めて中小企業に送り込み、中小企業経営者と元サラリーマンとの間で生じうる軋轢は覚悟の上で元サラリーマンに新たなチャレンジを求めるべきと考える。
おそらくシニアの多くは慣れ親しんだ会社で働き続けるほうが楽だと感じるだろう。
しかし、たった一度の人生なのに「仕事=一つの会社で滅私奉公」じゃあ、もったいない!
寿命が伸びた分、是非とも新しい職場にチャレンジして培った知見を広く役立ててください!